介護・障がい・福祉サービスを受けるために必要な『自分マニュアル』作成のススメ

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自分マニュアルは医療や福祉に繋がる時に必要な自分の情報です

家族が急に病気になった時、我が子の発達に心配があって相談機関に行くとき、介護や障がいなどの福祉のサービスを利用する時等、公的な機関、医療機関や相談機関の殆どはその経過や生活環境、育ってきた環境など様々な視点から聞かれることがあります。その時に過去を遡って説明することは、対象となる方によってはなかなか思い出すのに時間がかかったり、時系列で思い出すことが難しいこともあるかと思います。

相談機関や医療機関などでは、対象となる方の現在の状況だけでなく、過去の背景や成育歴など、環境因子となる場合であれば深く掘り下げて聞かれる場合もあるのです。

札幌市では発達に心配のあるお子さんのためにこんなファイルがあります。

サポートファイルさっぽろ

このファイルは実に細かくてなかなか書き込むには時間と記憶力が必要になっていきますが、これを書き留めておくことでお子さんが他の機関や急に医療にかかる場合にも、過去の状況や発達を伝えることが出来る内容になっています。札幌市で発行していますが、残念なことに、この書き方の説明会などは行われてはいなくて、窓口で簡単な書き方の説明をしてくれる程度です。

自分の歴史や自分の今まで生きてきた歴史の把握は様々な場面で必要になってきます。特に医療や福祉にかかる時には、今までの経緯や成育歴を聞かれることがあります。福祉のサービスを利用する時は生まれてから今までの経過や生活環境など細部にわたって聞き取りがあります。福祉側としては、その方の情報が沢山あればあるほど、その後の支援の方法や利用できるサービスの幅を広げながらその方が安心して生活できるような支援方法を計画しやすいのです。逆にご本人の情報が少なければ少ないほど支援の方向性に困ることもあります。

こうしてほしいという思いがご本人の中にあれば別ですが、今までの生活してきた経緯の中に今後の支援に繋がるヒントが沢山隠されているのです。

両親の介護を通して、それぞれの経過を知る何かが必要と感じた

私は母の体調の急変で2度、救急車に乗り、父も2度救急車に乗りました。私は両親の付き添いで、計4度救急車に同情しました。

母の時は、今までの病歴や生活歴を介護をしていたため、ある程度把握はしていました。救急車に乗る前には、お薬手帳と母が常に目持っていた自分の体調をある程度書き記したメモ帳をもって救急車に乗り込みました。救急隊員にも、当時母はまだ意思疎通が出来ていたので2人で状況を伝えることはできましたが、病院についてから、今までの母の病歴の経過と、パーキンソン病になる前の病歴の詳しい年代やどんな経過を時系列で思い出すのに苦労したのです。最近の情報は持ち合わせてはいて、記憶も新しいのですが過去の記憶と言うものはあいまいで、大切な記憶ですらはっきりと思い出すことは困難だという事に気づきました。

また父の場合は、なぜに倒れるまで体調不良になったかが私自身もある程度の原因がわからず、父も意識がもうろうとしており、連絡をもらって私が実家に駆け付けた時には、父も救急隊員にも伝えることが出来ず、実家にあるであろう、お薬手帳のありかや、保険証などの場所もわからず苦労しました。結局病院について私が知っている情報を医師に伝え、そのうち父の意識がはっきりしてきたので、様々なことを父から聞き取り状況を把握できたという経験があります。その後、わかったのは薬の飲み忘れでした。

両親ともに感じたのは、病院で色々と聞かれても、当の本人は話せる状況ではなく、家族である自分が最近の様子すら把握できておらず、過去の経緯を聞かれてもいつからこの薬を飲み始めたのか?この病気はいつ診断が出たのかを全く知らなかった、という事です。

その時に、両親の病歴や普段の健康状態などを把握できるものを何かにまとめたり、把握できる状態にしておくことは大切なのだと感じたのです。母が病院から施設へ転院したときなども、病院側からのカルテなどの引継ぎはあったものの、パーキンソン病を患った当時の状況などをヒアリングされたとき、もうその時は母も意思疎通が少しずつ難しくなり、ずっと介護してきた父や私にも過去を遡ることはまず難しいと感じたのです。

我が子の発達の凸凹から検査や療育に繋がる時にも時系列で説明できない

我が子もまた、発達の心配を抱えており、幼い頃はあちこちで発達検査や医療にかかっていました。当時はまだ入学までの月齢だったので、母子手帳を見たり、浅い過去の記憶をたどりながら医師や相談機関に説明することはできましたが、いつから我が子の発達に心配を感じたのか?などはあいまいでした。

その後、いったん療育や発達検査は終了となり、小学校の3年生の時に再び我が子の発達面で相談機関に行くこととなりました。過去に繋がった相談機関とは別の機関だったので、生まれてから今までの経緯や発達の心配な事、入学前にかかった相談機関や療育施設にどのくらいの頻度でどれくらいの期間かかったかなどを細かくヒアリングされたのです。覚えていると思っていましたが、我が子が生まれて10年近く経っている期間を細かく思い出すのは結構至難の業でした。

その際に相談機関から『サポートファイルさっぽろ』の事を教えてもらいファイルを頂いたのです。

そこからが、なかなかか生まれてから今までの事を書き留めることが難しく、結局途中で断念してしまいました。

自分マニュアルは難しく考えない、必要最低事項だけ押さえておけば大丈夫

私は相談支援専門員として、障がいの分野で福祉サービスを利用されるご本人やご家族の相談や申請業務を行っています。その中で、福祉サービスを利用されるご本人やご家族から、生まれてから今までの『成育歴』をお聞きする場面が必ずあるのです。これをアセスメントと言います。

このアセスメントが私達相談支援専門員はとても大事にしており、この『成育歴』から聞きとれる何気ないエピソードなども含めて、今後のご本人が生活していく上でどのようなサービスを利用したらいいのか、どのような支援体制が安心して生活できるのかの重要な材料となるのです。

中にはきちんとご本人やご家族が生まれてから今までの経緯などをメモとして書き留めている方もいらっしゃいました。それを含めてお話を進めていくと、今見ているご本人の姿とは違うご本人の普段の姿が見えることもあり、支援の方針が自然と定まってくることも多々あります。

逆にご本人やご家族からの情報が少なければ少ないほど、その後の支援の方針がなかなか定まらなく、ご本人やご家族との思いの相違が生まれてくることもあるのです。中には福祉の専門家である私たちのような人でさえ、初対面の人にべらべらと自分の事や家庭のことなどを話したくない、と言う方もいらっしゃいますが、そんな時はじっくり時間をかけて信頼関係を構築しながら情報をお聞きしていきます。

話がそれましたが、ある程度基本情報をご自分で抑えていくことで、福祉や医療の方針やご自身が今後どうしていきたいか等の方向性を一緒に考えることが出来るからこそ、必要最小限の自分情報を抑えていくことをお勧めします。

【自分情報の基本】

〇生まれた日付と場所・・・生まれた場所が今のお住いとは違う場合、どの機関まで住んでいたかによりますが、ご本人やご家族の了承を得たうえで、生まれた自治体に情報を取り寄せる場合があります。

〇乳幼児健診の状況・・・お子さんであれば必ずお聞きする情報です。自治体で必ず行っている乳幼児健診の結果や引っかかっている場合はどのような経過をたどっているかが大切な今後の支援に繋がります。また、その当時にお母さんがお子さんの様子で気になっていることだったり、実際にどの程度の発達だったかを知ることも大切にしています。

〇家族構成・・・これはその方が関わる知りえる範囲での家族情報をお聞きすることがあります。両親が共働きであれば何かあった時に子育てを手伝ってもらえる人が近くにいるか、兄弟姉妹の年齢や学校など、他のきょうだいの障害などはないのか、聞ける範囲でお聞きしていきます。

〇ご本人が関わっている機関・・・子供であれば、学校や幼稚園保育園、仕事先や医療、習い事などご本人が関わっている機関を把握します。また、過去に繋がっていた機関などもお聞きすることがあります。大人であれば、そこから支援に繋がるヒントがあったりするのです。

〇医療機関・・・今現在かかっている医療機関や過去にかかっていた医療機関なども含めてお聞きします。完治している病気や過去に大きな病気をしたが今は治ったなども把握していきます。

これらを細かく聞きながら、最後にご本人やご家族の『思い』をお聞きしていきます。

将来的にこうなりたい

こんな支援をしてほしい

こんな夢がある

など、一見福祉のサービスを利用することとはかけ離れていると思われることでもお聞きしながら、では、その夢に向かっていくにはご本人がどんな生活を送れるといいのかを福祉の視点から考えていきます。決して福祉サービスだけの支援利用だけではなく、地域との関りやつながりも含めてその方が地域で生活しやすいような支援方法を一緒に考えていくのです。

話しているうちにご本人の思いや夢を楽しそうに語られる瞬間があったりもして、自分情報の提示によって今まで福祉サービスに後ろ向きだったからが少しだけ前向きになられるケースもあるのです。

どんなことを書いていいのか、どんなひな形があるのかを知りたい人は、こんなサイトがありますよ

自分マニュアルのススメを書きましたが、

やっぱりよくわからない

書こうとは思うけどどんなことを書いたらいいのかがわからない

参考になるサイトがあれば教えてほしい

と言う方は、いくつか参考資料を載せておきますね。

全国各地のサポートファイルを紹介しているサイト

神戸市サポートブックの作り方ガイド

サポートファイルやまぐち

わたしの覚え書き 茅ヶ崎市

自分マニュアルを作成しながら、自分はどのような生活を望み、どのような余生を過ごしたいかを再度確認し見直す機会にもなります。また、その都度修正したり、必要な個所を書き足すことも出来るようにするといいですね。

上記のサポートファイルはあくまで参考までに・・・

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