介護家族にの選択肢のひとつショートステイ
在宅で介護をしていると、365日、毎日24時間が介護という方も少なくありません。体だけでなく心も休めることが出来ないと、心身ともに不調をきたしてしまうこともあるのです。
また、介護する側の急な予定などで、どうしても不在にしなければいけないとき、預けることが出来る施設はあるのかと焦ることもあります。そんな時に利用可能なのがショートステイです。ショートステイの存在を知っておくといざどこかに預けなくては行けな時に焦ることがありません。
私も過去に母を在宅で介護をしていた時、父の癌が発覚してしまいました。1か月ほどの入院を要することで、母をそうするかを父と考えました。ショートステイの存在を知っていたことで預け先をケアマネに相談し、見つけてもらうことが出来たのはありがたいことでした。ただ、当時はまだショートステイを行っている施設が今ほど多くはなかったので、父の入院を少し先延ばしにしてもらい、ショートステイ先の空きを待って、という流れになってしまいました。父の癌は転移するような個所ではなかったことと、進行もゆっくりだったこともあり、急を要するショートの利用ではなかったことが幸いしました。もし、父の病状が一刻を要するような進行具合だったのであれば、遠方の施設でのショートも考えなくてはいけなかったかもしれません。
ショートステイとはどのようなシステムなのでしょうか?
ショートステイの種類
ショートステイは短期入所生活介護とも言い、要介護の高齢者が数日から1週間ほどの短期間で施設に入所できるサービスのことです。介護保険の利用となります。ですので、介護認定を受けないと利用することはできないのです。
連続利用日数は最大30日までとなり、31日を超えると利用負担が全額自己負担となります。
ショートステイのタイプとしては、2種類あります。
・併設型・・・特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに併設し、その施設に宿泊します。なので入所されている高齢者と同じ場での生活となることが多いようです。中にはショート専用の階があり、そこで宿泊する施設もあります。
・単独型・・・この場合は高齢者施設にはなく、ショートステイ専門の施設に宿泊することになります。
また、種類としては2種類、短期入所生活介護と短期入所療養介護があります。
・短期入所生活介護・・・食事や入浴と言った生活介護と機能訓練が受けられるサービスです。宿泊できるデイサービスのようなもので介護職員の他にも機能訓練指導員が配置されているため機能訓練やレクレーションも受けることが可能です。施設としては有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設でうサービスを受けることが出来ます。
・短期入所療養介護・・・医療的ケアやリハビリテーションなどの医療的サービスを受けることが出来ます。短期入所生活介護と同様、食事や入浴などの介護を受けながら、看護師や医師、理学療法士などが配置されています。
ショートステイでは、施設と同様入浴や食事、排せつの介助など日常生活の介護をはじめリハビリテーションや、レクレーションなどのサービスを受けることもできます。
おおむね4日以上の利用となる場合にはケアマネがケアプランを立てることが必須となりますが、3日以内であればケアプランが無くても利用は可能となります。
利用する前にチェックしておきたい、メリットとデメリット
ショートステイを利用するには当然メリットばかりではありません。色々なメリットやデメリットを把握したうえで利用することをお勧めします。
【メリット】
一番のメリットは介護家族の負担が軽減されるということです。介護する家族の生活スタイルに合わせて上手くショートステイを利用することにより身体的、精神的な負担が楽になるという方も多くいらっしゃいます。毎月、リフレッシュを兼ねて1週間ほどショートステイを利用することで介護と向き合えるとお話されていたご家族もいらっしゃいました。ご本人も初めは家以外の場所での生活に不安を感じていらっしゃったようでしたが、回を重ねるごとにショートに行くことが生活のサイクルになり、お互いに離れる期間を設けることでまた気持ち新たになれるというご家族もいらっしゃいます。将来的に入所を検討しているご家庭には、施設体験になるというメリットもあります。
【デメリット】
ショートステイは利用する方が増えているということで、なかなか予約が取りにくいということもあるようです。急な予定でショートを利用しなくてはいけないときに、すぐに施設が見つからないというデメリットもあります。そんな時は何か所かの施設に目星をつけておくこともお勧めします。
また、ショートステイは介護される方が、慣れない場所で環境が変わるということで逆にストレスになることもあります。入所と違い、職員や入所されている方々とのコミュニケーションも取りづらいということもあり、帰宅後に疲れが出てしまうということもあるのです。認知症の方は症状が進んだり、帰宅後に暫く不穏になってしまうということも想定しておくといいでしょう。
ただ、何度か利用することで同じ施設であれば慣れてくる方もおり、メリットに書いたようにショートが逆に良いリフレッシュになる方もいらっしゃいます。
このようにメリット、デメリットをあらかじめ想定の上、どのように利用するかを考え、初めは短い日数から定期的に様子を見ながら利用することをお勧めします。
費用はどれくらい?
ショートステイにかかる費用は要介護度、施設の種類、部屋のタイプ、滞在日数によって違います。
介護度が高くなれば、かかる費用も高くなります。利用するタイプや部屋のタイプ(多床室・個室)によっても変わってきます。
また、送迎や、食事(療養食など)によっても加算対象となるのです。
いずれにしても介護保険の中で加算となる項目が様々なため、同じ介護度でも、費用は様々なのです。
終わりに
ショートステイを選ぶときにはその方の心身の状態にあった施設を選びたいものです。また、事前に見学をすることで、その施設の雰囲気がわかるでしょう。
特にスタッフの雰囲気なども、選ぶうえで大きなポイントとなります。配置人数がギリギリだと、職員にも余裕がない雰囲気は伝わってきます。特に食事の時間などを見学させてもらうと、その様子がわかります。
在宅介護には選択肢の一つとして利用してほしいショートステイ・・・
在宅介護を長続きさせるには必要なサービスと言えます。施設に預けることに抵抗があるご家族や、ご本人が自宅以外での場所で数日とはいえ生活することに抵抗がある場合には、利用するには躊躇することかもしれません。
こんなサービスがあるんだ、という程度に在宅介護を利用するサービスの中にショートステイがあるということを頭の片隅にでも置いておいておくといいでしょう。
私の母は、家以外の場所に行くと眠れないということが多く、父の入院によるショートステイも激しく拒否しました。しかし、当時は私もシングルマザーとしてフルタイムで働きながら、幼い子供たちを育てていたので、父がいない中での在宅介護は困難と思い母を説得しました。当然初日から職員に、
娘に電話してほしい
と何度も訴え、夜中になると幻聴幻覚が酷くなり、約、1か月間、施設での不穏な日々が続きました。
施設側は何度か私に連絡をしてくれ、後半は
出来れば予定日数を繰り上げて迎えに来てもらえませんか?
と言われる程、母の不穏は日に日にひどくなっていきました。母に1人職員がつかないといけない状態にまでなってしまったのです。
母にとってショートステイは辛いものでしかありませんでした。もともと、泊まりがけの旅行も嫌いな人だったので、ショートは難しいものでした。
我が家のようなケースは稀ですが、あの頃もし在宅介護でショートステイが使えていたら私もメンタルを病むことはなかったかもしれません。
毒親だった母と距離を置く期間が毎月1日でもあったら・・・そう思うこともあります。
在宅介護のサービスの選択肢としてショートステイを利用することをお勧めします。