在宅介護において避けては通れない排せつ介助
介護において排せつの介助は避けては通れない大切なことですね。私も母を在宅で介護をしていた時、母の排せつの介助をする日が来るなんて、と初めて排せつの介助をしたときに、多少なりともショックを受けました。
排せつの介助と言っても、介護する型の状態に応じて様々です。
トイレに連れて行く
下着やズボンを下ろして座らせる
排せつが終わったら拭く
おむつやパットの交換
などなど、介護度や身体状況に応じて排せつの介助は変わってきます。介護の仕事で一番悩ましいのが排せつ。
尿は何回出ているか?尿の色は?便秘してないか?しているとしたら何日出ていないか?
排せつは、その方の病状や体調管理のバロメーターでもあるため、毎日排せつのたびに様々なことを念頭に置いて健康をチェックするのです。
在宅で母を介護していた時は、母自身が元々、膀胱炎になりやすいことや、昔からひどい便秘で下手すると1週間便が出ないなんてこともあり、そのために痔のもなっていたのでいつも便秘と排尿を気にしていました。母自身も便秘がひどくなると食欲が落ちるので、時には下剤のお世話にもなっていましたが、それでも出ないことも多々ありました。
パーキンソン病の薬を大量に服用していたことで薬の副作用的な便秘もあると言われ、毎回ラキソベロンという液状の下剤を必要な敵数飲んで、1週間に1度のお通じを促していました。ラキソベロンは割と便秘薬の中でも強めですが、それでも母にとっては効きが良くなかったのです。
そんな排せつのことは、私自身も訪問の看護師や母とも話すこともできず、介護の仕事を通して排せつの様々なことを知り母へ実践していました。
介護する方の自尊心を大切にして行いたい排せつ介助
今まで自分で当たり前に排せつをしていたのが、次第に誰かの手を借りないと自力で行うことが出来なくなっていくことに、一番気落ちしているのはご本人です。ご家族と言えども介護する方の排せつ介助はその方の自尊心を傷つけないことを念頭に置きながら解除することが大切となってきます。ある意味、プライベートな空間でのお世話となるなるわけですからご本人の意思を尊重し、なるべく恥ずかしいと思わないような配慮をしたいものです。
排せつの介助を人へ任せるということは、ご本人にとっては、情けない思いや、悲しい思いなどそのことが要因となって益々様々な機能が低下することも考えられます。その思いを組みながら、排せつ介助で抑えるべきポイントを踏まえ、生活空間などに応じた介助を心がけていきましょう。
【自尊心を傷つけない】
先ほども述べたようにほとんどの方は誰かの手を借りて排せつをすることに相当な抵抗があるのです。万が一排せつに失敗をした時の声掛けなどには十分に配慮したり、排せつに誘う時の声掛けなどを十分に配慮しましょう。
【水分摂取を控えさせない】
排せつ介助を受けていると、排せつ自体の回数を減らそうと水分の摂取を控える方もいらっしゃいます。それが原因で脱水や便秘になることもあり、体への負担も大きくなります。水分摂取を控えることが体へどのように影響するかをさりげなく伝えつつこまめに水分をすすめましょう。
【自力で排せつできる機会を増やす】
失禁の回数が増えると介護者はおむつの使用を考えます。しかし、その方がまだ尿意や便意を感じているならばおむつを使用することで自尊心を傷つけたり、トイレに行く回数が減ることで筋力の低下にもつながりかねません。おむつは最終手段と考え、出来るだけトイレでの自力排せつを目指しましょう。
【時間を決めて誘う】
一日の流れの中で時間を決めて排せつを促すことで、失敗の回数を減らすことは可能です。ご本人もルーティンが決まっていると、尿意を意識したりすることもできるようになります。
その方にあった排せつ介助方法を考える
介護度に応じて、またはその方の状態に応じて排せつの方法を考えていきます。
また、状態だけでなく在宅であれば生活空間や、介護する家族の事情などにもよって排せつの状況は少しずつ変化させていくことが重要となるのです。
【排せつ方法の種類】
・トイレ・・・今では少なくなりましたが家庭のトイレは和式よりも、高齢者が楽に座れる様式の便座を選びます。また、立ち上がりなどには手すりを付けることで自力でトイレで排せつが出来ます。
・ポータブルトイレ・・・寝室などトイレ以外の場所に置けます。トイレに行くまでに距離があったり、間に合わない場合にはポータブルが便利です。また、日中は家のトイレを使用し、夜間だけポータブルを使用する方もいらっしゃいます。
・便器と尿器・・・寝ている状態で便や尿を受けることが出来る容器です。ベッド上で起き上がることが出来ない方向けです。男性用と女性用があります。
・おむつ・・・素材は紙タイプト布タイプがありますが、今は布タイプはほとんど使用しません。また、紙タイプはテープタイプトパンツタイプがあり、パンツタイプは普段の下着のように使用している方もいらっしゃいます。テープタイプはベッド上で使用する方が多いようです。また、パットをパンツタイプと合わせて使う方もいらっしゃいます。尿意や便意を感じにくい方向けです。
トイレやポータブルトイレでの排せつ方法
トイレまで誘導し、トイレでは密接な空間となります。その際にはプライバシーに十分配慮します。
その際できることはご自身で行ってもらい、出来ないところのみお手伝いします。
便座に座ると足が浮いてしまう方がいらっしゃいます。そんな時は台座などを用意して足がしっかりつくようにします。足がついていないと座っていても転倒の恐れがあるからです。
ご本人が終わるまでは、トイレの外にいてドアを少し開けて待ちます。排せつが終わったらお手伝いすることろをさせていただき素早く終わらせます。また、排せつ中に血圧が上昇してしまうこともあるので、その辺も十分に配慮します。
この時、ご本人の体調確認と排せつ物の確認もさりげなくします。
ふらつき、めまい、脱力、顔色など様々な変化を見逃さないようにしましょう。
尿器や便器、おむつの使い方と配慮
尿器や便器はベッド上で行うことが多いため、防水シートを使用し、シーツなどが汚れないように配慮することと、匂いにも配慮しましょう。消臭スプレーも常備し、終わったら換気をしながら室内の空気の入れ替えをします。その際に、匂いが充満することで申し訳ない気持ちになる方もいらっやいます。あからさまに消臭スプレーをかけたり、換気をすることには配慮し、さりげなく声掛けなどするようにしてください。
尿器や便器は色々な種類や形状のものがあるので、介護する方の状態に応じたものを選ぶといいでしょう。
おむつもテープ式やパンツ式、パットなど様々な種類があります。
ベッド症で生活の大半を過ごされている方には漏れを防止するためにもテープ式のおむつが適切かと思います。また、起きて生活をされている方はご自身でズボンなどの上げ下げが出来るためにはパンツタイプがいいでしょう。パットは様々な状況に応じて使用します。パンツ式やテープ式と一緒に使ったり、ショーツにあてて使う方もいらっしゃいます。
出来るとはご自身でやってもらい、極力自力排せつを促す
排せつはその方の認知面や筋力面などの低下につながり、自力での排せつを、なるべくできるように促したいものです。また、先にも述べたように排せつの介助を受けることで自尊心が傷つけられた離、自分が情けないと感じることもあり、それが意欲の低下にもつながることも多いのです。
逆に自力で排せつをすることは、ご自身の意欲向上と、生活の向上にも繋がり様々な機能の低下を予防します。
少しでもできることは自力でやっていただき、介助が必要なところだけお手伝いをすることで、自立を促すことが出来るのです。
母は最期までおむつを拒否し続けました。最後の数か月(3か月くらい)はおむつを使用しましたが、それまでは例え失禁してもおむつ使用を拒否し続けました。家族としては職員の手間を考えてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、母が最期まで意識を保とうと頑張っていたのはもしかするとおむつを拒否し続けたおかげなのでは?と感じることがありました。
終わりに
在宅で介護をしていると排せつの介助の悩みやわからないことはあまり、聞けないものです。聞きにくいという声も聞いたことがあります。
我が家も母の排せつは行き当たりばったりで、失禁されたことも数知れずでした。実家のトイレは狭くて、排せつ中にパーキンソンによる激しい振戦がきてしまい、そこから後始末をしてベッドへ連れていく最中に母と一緒に転倒してしまったこともあります。
また、便秘がひどくいきみむので血圧が上昇し、具合が悪くなったこともありました。
排せつ介助は正直私の中で大変と言う思いと、出来ればおむつにしてほしいという思いがありました。
後半はベッド横にポータブルトイレを置き、そこで排せつの介助をしていましたが、逆に周囲に何もないので母自身が不安定な姿勢になってしまい、転倒しないように後ろから支えると言ったこともしていました。
もし、自分が排せつ介助をしてもらうとしたら・・・
介護の実習で排せつ介助の実習があります。もちろん衣服の上におむつをしたりトイレに座るのですが、介助を受ける気持ちは、恥ずかしい、と、不安でした。
恥ずかしいのは説明するまでもありませんが、どんなに配慮してもらったとしても排せつという空間に自分以外の人がいることに羞恥心は当然あります。
また、不安という気持ちはトイレに座るまでの介助などの移動が体に負担がかかることや、これが、尿意を感じている中で、切羽詰まっている状態だったら失禁の可能性もあるかもしれないという不安感が襲ってきました。
実習をとおして、介助するぐぁがどのように配慮したらいいのかを再確認することが出来たのです。
排せつの介助においては、その方の心身の状態に応じて、また、出来るだけ自力で出来ることを減らさないように介助するのが大切なのです。