18歳未満の子供たちが身内の介護をするヤングケアラーが増加している

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ヤングケアラーが直面している現実

近年ヤングケアラーという言葉が巷でよく聞かれるようになりました。

ヤングケアラーとは、18歳未満で、家族の介護を余儀なくしている若者のことを言います。

この言葉を聞いて、私もヤングケアラーだったんだ、と複雑な気持ちになりました。

今や通学や通勤をしながら家族の介護をしている15歳~19歳の子供が2019年の時点で3万7100人にも上っていると言います。ヤングケアラーは孤立しやすく進路をも左右されがちです。

学校へ通っている傍ら、学校が終わると今度は介護が待っている・・・そんな日々を送っている子供たちは周囲と自分とのギャップに悩んだり、母親や父親を介護をしている場合は、進路をあきらめるケースも少なくないと言います。

それは、金銭的なことも含め、親の介護から離れられない現実と直面した結果、介護することを選ぶしかないのです。

私も高校生の時に母がパーキンソン病と診断され、その後の進路のことで母と激しく衝突しました。自分の体の自由が少しずつ奪われる不安に駆られていた母は、私をずっと手元に置いておきながら自分の介護をさせたかったのです。ですが、地方の大学へ行き、1人暮らしをしたかった私は母の思いを聞き入れることが出来ませんでした。でも、結果、自宅から通える大学を選んだのです。その後、わけあって1人暮らしをしますが母にとってはその学生生活が終わったら自宅へ戻るよう常に私に言い続けました。

パーキンソン病になる前から体が弱かった母は、寝こむことが多く、時には長期で入退院を繰り返していたので小学校に上がる頃には、家事のやり方を父や母から教えられ、3年生頃には洗濯や掃除、簡単な食事作りまでできるようになってたのです。

それは、小学生ながらに寂しい悲しいことでした。なので、母がいつも寝込んでいることや入院していることを友達には話したことがありません。

いわゆる孤立していたのかもしれません。

ヤングケアラーの声を見聞きする中で一番多いのが、介護する家族から

あなたがいないと困る

という声にあらがえないという声が多かったことでした。私も母から依存され、つねにあてにされていたことで、いつしか、自分の意思とは関係なしに生活の一部のように介護が当たり前になっていったのです。

ヤングケアラーは主にどんなケアを担っているのか?

通常は大人が行うとされているようなケアを10代からの若い世代が介護を担います。

子供たちが行う介護の状況は様々で、家族の病気、障害の種類や程度、ケアが必要とされる頻度、家族構成によって違います。

● 家事(買い物、料理、洗濯、掃除など)

● 情緒面のサポート(家族の感情状態の観察などのメンタルサポート)

● 一般的ケア(薬を飲ませる、着替えや移動の介助など)

● 身辺ケア(排せつ、入浴、着替えなど)

● きょうだいの世話

● 病院への付き添い

● 家計を支えるためにアルバイトなど

これらは主にヤングケアラーが良く担っている役割ですが、介護以外にも家事や育児を担うことで、家族の助けになっているのですね。親のケアをしている子供は、きょうだいの面倒を見ながら、家計をも支えるためにアルバイトで生計を助けている子もいます。それが1年、2年と続くと自分の生きている価値が見いだせなかったり、家族のために自分が犠牲になっていると悲観的な気持ちになり、将来に夢や希望が持てなかったりすることもあるようです。

核家族のために他に介護を担える身内がいないという現実からヤングケアラーは増えている

昔ならば、大家族の中で、家族の介護をしているこどもに対して身内思いの優しい子として大切にされた時代もありました。昭和の古き良き時代ですね・・・

今では、核家族化が進む中で周囲に頼る人もいないことで子供たちが家族の介護という責任だけがずっしりと乗りかかり、誰にも相談できず、頼ることもできず、大人でも大変だと感じてしまう介護を未成年の子供が担うことで社会から隔離された孤独な日々を送る現実があるのです。友達と遊んだり、学校以外の場で色々な楽しみを仲間と共有することすら出来なくなるヤングケアラー・・・

私の経験から、10代の時の多感な時期に母のパーキンソン病という不治の病を受け止めることにもかなりの抵抗がありました。皆他の同級生は親は少なからず元気で、親のことを毎日気にかけながら帰宅する憂鬱さを感じていないことにうらやましさと、何で私はこんなにも不幸な星の元に生まれたのだろう?という悲しい気持ちが母を余計に憎むことに繋がっていきました。

我が家の場合は、自営をしていた父が主に仕事の合間をぬって母の介護をしながら、父が出来ないときや、母の調子が悪く目が離せないときは私も介護の要因とされていました。

頼れる親戚は近所にはいましたが、母が病気だということを隠したかった事や父も仕事柄、会社の事務を担っていた母の病気のことを会社の従業員にばれたくなかったこともあり、あえて誰の手も借りず私と父とで介護を担っていたのです。

総務省の統計によると、高校生以上の世代のヤングケアラーの統計が先に書いたように3万人を超えていると記載していますが、総務省は中学生以下の子供たちへのリサーチをしていないこともあり、ヤングケアラーの統計はもっと多いのでは?という事なのです。小学生や中学生でも学校を休んでまで家族の介護を担っているケースもあると言います。そのために、学校へ行きにくくなったり、学力の低下、進学をあきらめるなど、子供が当たり前に受けられているはずの、教育を受ける権利がまともに得られたいない児童も現実としているのだと言います。

また、高校生以上のヤングケアラーは介護の頻度として、1週間にどのくらい行っているのか?という問いに、毎日と答えた子が30パーセントを超えていると言います。

核家族化が進むことで、政府が今後もヤングケアラーの実態を追い続ける必要があるのだと感じます。

おわりに

ヤングケアラーの家庭は様々な事情を抱えているケースです。我が子に介護を担ってもらうことはよほどの事情なのだと思うのです。

私も母の意向や家族の事情が母の介護を担う事となってしまいました。

高校生活を楽しむことよりも母を気遣うことを優先し、その後の進路や結婚においても

お母さんはどう思うかな?

私がいなくなったらお父さんは1人でお母さんの世話をすることになる

その思いが常にある反面、逃げたい気持ちでいっぱいでした。

選択として母はいわゆる毒母だったこともあり、介護から逃げるように家を出て自立の道を選びましたが、どんなに離れていても母の介護のことが気がかりでした。

何気ない電話でも母のメンタルに左右され、弱音を吐かない父の声に余計に心配になり家を出てよかったのだろうか?そう思うことも沢山ありました。

ヤングケアラーにとって、自分の人生は介護する家族ありきで考えなくてはいけない辛さもあります。介護から離れることは家族を見捨てることと、私のようにとらえている方も少なからずいるのではないかと思うのです。

今では、ヤングケアラーの自助会や支援グループなども立ち上がり、子供が最低限の基本的な生活を送れるよう、第三者がサポート見守りできる団体も増えてはきました。

しかし、思春期真っただ中のヤングケアラーなどそのことすら誰にも言えない、と、一歩を踏み出す勇気すらない方がたくさんいるのが実情だと言われてもいます。

私も友達にすらははの介護のことは一切言えませんでした。

そんなヤングケアラーが少しでも孤立から解放されるような支援が必要なのだと感じています。

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