エンディングノートのメリットとは
終活と言う言葉が聞かれるようになり、最期をどのように向かえたらいいのかを考える人が増えてきました。墓じまいや生前葬など、自分亡き後のことを考えて、身辺を少しずつ整理することで、急なことでも周りが慌てないようにと言う考えは家族への愛情や優しさを感じます。
その中でも今や、『エンディングノート』というものが本屋には所狭しと並んでいます。エンディングノートとは、遺言書のように思いがちですが、自分の思いを家族に託すメッセージと言ったところでしょうか。
自分が亡くなったときに、伝えたいことや家族が困らないように生活の中での忘備録としても役立ちます。
エンディングノートを書くことによって、今まで家族が知らなかったご本人の思いを知ることが出来たり、書く本人が自分を改めて知るためのきっかけにもなります。そして、今までの自分と向き合うことで、今後の人生をより豊かに幸せに過ごすためのきっかけにもなります。
【メリット】
・自分が終末期になった時にどうしたらいいか等の意志を家族に伝えられる
・自分亡き後の事を家族に伝えることが出来る
・自分の経済状況を改めて知ることが出来る
・自分の思いを家族に伝えることが出来る
・家族の負担を減らすことが出来る
・今後の自分の人生にじっくりと向かい合うことが出来る
エンディングノートは遺言書とは違う
エンディングノートと遺言書との大きな違いは法的な効力があるかどうかです。遺言書は法的に強制力がありますが、エンディングノートは法的な強制力はありません。主に遺言書とは故人が親族に自分の財産の処分法、指示などを家族に分かるように記す方法で、弁護士や医師など法に基づいた専門家立ち合いの下、規定通りに文章を作成します。これらの条件を満たさない場合の遺言書は法的に無効となります。
もし、法的な強制力をもった書面をと考えているのであれば、そこは、エンディングノートとは別に専門家に相談して用意することをお勧めします。
参考までに、遺言書などの財産相続の相談に乗ってくれる弁護士のサイトをご紹介します。
エンディングノートの書き方
エンディングノートには決まったひな形のようなものはありません。ご本人が思うことを思うままに書き記すことが出来ます。冒頭にも書いたように、今は書店でも色々な種類のエンディングノートが売られています。内容としてはどのエンディングノートもよくまとまっており、何を書き記しておけばいいか、まとめることが難しいと考えている人にはお勧めです。また、ある程度のことを白紙のノートを購入して自分でまとめることもいいでしょう。
では、主にどのような項目を書いた方がいいのでしょうか?是非参考にしてみてください。
・ご自身について
生年月日、出生地、家族の情報、学歴、引っ越しの有無と住んだ地域の事、これまでの務め先や職種、資格
・医療や介護の事について
延命治療や臓器提供の意思、病名の告知、介護が必要になった時に誰にしてほしいか、何処で過ごしたいか、どのような介護を望むのか、介護費用の事、
延命治療や臓器提供は家族の判断が尊重されますが、エンディングノートに記しておくことでご自身の意思を記載されていることで、家族の精神的な負担が軽減されることもあります。また、介護に関しては介護の体制を整えることが出来ます。但し、家族を指名したりなどの負担をかけるような記載は避けた方がいいでしょう。
・葬儀方法について
葬儀をどうするか、何処で行うか、喪主、祭壇の種類、遺影の写真、人によっては戒名、葬儀にかかる費用の事、
・お墓について
お墓を建てるのか、先祖のお墓に入るのか、お墓を持たないのか、散骨なども含めてどうするか、お墓の費用の事、
葬儀やお墓のことは、できれば普段から家族と話が出来るといいのですが、なかなかそのような話を生前からすることを躊躇される方も多いかと思います。家族に負担をかけることを懸念するのであれば、あくまで希望という事で記しておく程度と考えることがいいでしょう。
逆にエンディングノートのデメリットとは?
エンディングノートのメリットばかりを書いてきましたが、デメリットももちろんあります。では、デメリットはどんなものでしょうか?
・法的な効力がない
先にも書いたようにエンディングノートには法的な効力がないためあくまでも本人の思いでしかありません。財産分与などの事だけは法的な効力のある遺言書で残し、他はエンディングノートに記しておくことも一つの方法です。
・個人情報の管理
エンディングノートは極めて個人的な情報もたくさん含まれています。その保管場所に気をつけておかないと盗難や書き換えの恐れがあるという事を知っておく必要があります。金庫に保管するなど盗難のリスクが低い場所での保管を考えておくことをお勧めします。但し、よく貸金庫に預ける方もいらっしゃいますが、本人が亡くなった後には、金融機関は開けるのに時間がかかるのでお勧めはしません。
・残された家族にとって負担になる場合
書く内容によっては、残された家族の負担になったり、選択肢が狭まれたりなどの可能性があります。書く内容によっては家族間に亀裂が入ることもあるかもしれません。
デメリットを考えると、エンディングノートに書き記す内容は家族にとってあまり負担にならない項目だけを考えて書くことも必要になるかもしれません。または、あくまでご自身の覚書のような感じで書くことも一つの方法です。
おわりに
エンディングノートは本人の歴史が詰まった歴史書のようなものでもあります。自分が亡くなった後に、こうしてほしい、ああしてほしいというお願いだけを書くものでもないのです、自分が生きてきた中で感じたこと、思い出など、家族も自分が亡きあとに一緒にそれを読んで故人を振り帰ってくれるようなものでもいいのです。
エンディングノートとは自分が亡きあとに家族が困らないようにするためのものと、自分の生きてきた証を記すノートでもあると思います。また、エンディングノートを生前に書くことによって、残りの自分の人生をより幸せに生きるきっかけにもなります。
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