高齢者にとって、生きがいとは?生活の質の向上、日常生活動作の維持かもしれません

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介護は日常的な何気ない生活動作も生きがいに繋がることもある

介護の仕事をしていると、どうしてもご本人ができることまでこちらがやってしまうことがあります。仕事の中でそれに気づくときは、ご本人が教えてくださることが多いのです。

高齢者は加齢とともに、身体面や認知面など、様々な機能がゆっくりゆっくりと落ちていきます。それを予防するには刺激が必要なのです。

介護用語でADLとIADLという用語があります。聞いたことがある方もおらっしゃるかと思いますが、日常的な動作がADL,体だけでなく思考を使って動くことをIADLと言います。

高齢者はこの日常動作などが加齢とともに出来なくなってくることで、様々な介護の要因となりえるのです。

ケアプラン等では、この日常動作ありきで高齢者の日々の生活支援を考えます。

母はパーキンソン病のせいで、身体的な衰えが激しくなっていきました。そうすると思考的な面も衰え、生活全般が介助なしでは出来なくなるには早かったのです。

ヘルパーや、看護師は、

出来ることは見守りながらやらせてあげてください。

と言われたことがあります。在宅で介護をしていた時、すでに車いす生活の母でしたが、まだ手を使うことは何とか出来ていました。ヘルパーさんは食事の支度をできる範囲で母に手伝ってもらうことで、母がまだ家事ができるんだという自信を持ってもらいたいという意図がありました。

母にとって、自分が1品でもおかずを作れたことは、モチベーションアップにつながっていました。たとえ足が動かなくて歩くことが困難だったとしても、自分はまだ手が動くことで家族の役に立てる、という気持ちがあったのです。

父や私は、危ないからと言って、母が出来ることまで私たちでやってしまっていました。が、母にとっては、まだまだできるのに、という思いがあったようです。

孫たちの運動会や誕生日は、父に手伝ってもらいながらおにぎりを作ったり、卵焼きを作ったりしてくれていました。家族のために何かをできるということが生きがいとなっていたのですね。

ADLとIADLはどんな動作なのだろうか?

先ほどの生きがいのように、日常的な動作ができることで、高齢者の方々は気持ちが前向きになれたり、それをきっかけにできなかったことが少しずつ出来るようになったりと生活への変化も見られるほどADLやIADLは大切な介護の基本なのです。

ADLとは、どれだけ他者の手を借りずに独立して生活できるか?と言うことの指標にもなります。具体的には、顔を洗う、着替えをする、食事をするなど日常のありふれた動作ができるかどうかなのです。

加齢とともに、これらの動作が出来なくなってきた、時間がかかるようになってきたということは、ADLの低下と言います。

また、IADLとは、手段的日常動作と言い日常動作だけでなく、頭を使って動くことを示します。電話をかける、薬を飲む、買い物に行く、など考えて行動することを言うのです。

私の父は現在母を亡くして実家に1人で暮らしています。2週間に1度はヘルパーさんに来てもらい家事援助をお願いしています。また、毎週1回は看護師に来てもらい、服薬管理をしてもらいます。

これらの支援を受けようと思ったきっかけは、父のIADLが低下したな・・・と感じたためです。母が無くなり、実家を売り引っ越ししてから認知面の衰えが一気に進んだ感じでした。薬を飲み忘れる飲んだことも忘れる、さっき話したことがもう覚えていない、私に家にはしょっちゅう来ていたのに、来るとマンションの部屋番号を忘れ、家に来て帰る時も、どこにいるのかわからなくなってしまうことが多くなり、これはいかんと思いヘルパーを頼みました。

簡単な動作ADLは出来ていても、IADLのような思考を駆使した動作が出来なくなっていくことは、認知面の衰えではよくある事です。

介護の評価では、この2つを合わせて評価していきます。

ADLの評価方法とはどのように行うのだろうか?

ADLの評価方法は、家族やケアマネがご本人を見て判断すすのではなく、きちんとした評価方法があります。色々な評価方法がありますが、大きく分けると、運動機能や認知機能の面で見ていきます。

・運動項目・・・食事、整容、清拭、更衣(上半身と下半身に分けてみる)、トイレ、

        これらが自立しているかを評価する。

        歩行、階段、ベッド、車いす、トイレ、浴槽、これらはどこまで

        自力で出来るか?またはどこまで介助が必要かを見る。

        排尿、排便、自力で出来るかどうかを見る。

・認知項目・・・理解(聴覚、視覚)、表出(音声、非音声)、社会交流、問題解決、記憶

これらは、評価すすとこでご本人がどこまで出来ているか?そして過介護になっていないかを確認するにも使うことが出来ます。過介護になってしまうことでADLの低下につながることも予防することが出来るのです。

私の母のように、家族が過介護過ぎてしまうことで、出来ることを奪ってしまい、本人のモチベーションすら下げてしまうことは、介護の世界の中では危険だったりもします。それは認知面の低下だけでなく、ご本人の生きる希望すら奪ってしまいかねないのです。

ADLの向上を図る上で家族や介護者が大切にしなければいけない事とは?

先ほどの評価は介護の支援内容を考える上で、大切な指針となりますが、普段の介護の中で、私たちもこのような視点で見ることでADLの低下を予防することが出来るのです。

また専門用語になってしまいますが、QOLと言う言葉があります。このQOLとは、生活の質と言います。高齢者にとって、出来ることをやりつつ、人の手をなるべく借りないで生きていくことは生活の質の向上にもつながります。先ほどの話のように、若いころは当たり前に生活していた日々の何気ない動作が、高齢者になると維持することが大変になってきます。

できないことが増えてくると、モチベーションも下がり、生きている意味すら持てなくなることもあるのです。それが生活の質(QOL)の低下につながり、ADLの低下にもつながっていきます。

私たち家族や介護者はこの意味をしっかりと頭に置いて、高齢者の意思を尊重した介護をしなくてはいけないのですね。

このADLの低下を食い止めることはできませんが、ご本人の体や心のケアをすること、ちょっとの支えで出来たという喜びを持っていただくことで長くご自身らしい生活をしていただくことは十分可能なのです。

現在私の父は、認知面の衰えを受け入れながら1人暮らしをしています。私も行ける範囲の場所に住んでいますが、1人にさせている不安もなくはありません。

でも、父が1人で生活していることに自信を持っていることは、QOL(生活の質)の向上へと繋がっていると思っています。できないことはヘルパーや看護師、私の手を借りながらやっているので、父にとってもそんなにストレスの少ない生活を送れていると思っています。

高齢者にとって生きがいとは自分で何でもできるような生活を維持することなのでしょうね。

        

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