そもそもパーキンソン病は高齢者に多い病気だが・・・
パーキンソン病という病を知って言ますか?高齢者では、100人に一人がパーキンソン病と診断されていると言われたいます。高齢化社会と言われる現代では、結構な割合でパーキンソン病の高齢者が増えています。
症状としては、手足や全身の振戦(震え)、筋肉の拘縮、姿勢の保持が難しく転倒しやすくなる、など様々な全身症状を伴う病です。

50歳以上からかかりやすい病とも言われ、まれに40代で発症する方もいます。50歳以下で発症する場合は、若年性のパーキンソン病と言われます。
母は、40代の後半から上記のような症状に悩まされ、50歳でパーキンソン病と診断されました。
症状は多岐に渡り、母の場合は手足の力が弱くなり、転倒や握力の低下が顕著にみられるようになったことから、何年も病院を転々として50歳にしてようやく診断が出たという感じです。パーキンソン病の初期のころは診断がつきにくいと言われます。
他の病気のような症状と似ていたりするからだそうです。母も他の難病と診断されそうになったり、脳の病と間違われたりもしました。または精神的な病と診断されメンタルの薬を貰っていたこともあります。不思議なことに、母も父も何だか医師の診断に納得いかず、パーキンソン病と診断されて初めてそうだったんだ、と安どしたと言います。
人間の感というのでしょうか・・・
運動症状とはどんな症状なのか?
パーキンソン病の症状は多岐に渡ると書きましたが、症状は大きく分けて、運動症状と非運動症状の2つに分けられます。
運動症状とはどのような症状なのでしょうか?
パーキンソン病の初期によく見られるのが、運動症状です。
母もそうですが、この運動症状を手掛かりに医師が診断することが多いのです。

■ 無動
・動きがすばやくできない
・歩くときに最初の一歩が出にくくなったりする。
・話に抑揚がなくなり、声が小さくなる
・文字を書くときに小さくなる
■ 筋強剛(きんきょうごう)
・肩、膝、指等の筋肉が硬くなり、動かしにくくなる
・痛みを感じることもある
・顔の筋力がこわばり、無表情のように見える
■ 制止時振戦(せいしじしんせん)
・なのもしていない時に震えがくる
・片方の手足の震えから始まることが多い
・睡眠時は震えが治まるが起きると震えが始まる
・1秒間4~6回程度の震えがある
■姿勢反射障害
・体のバランスが取りにくくなり、転倒しやすくなる
・歩いてて止まることが困難になる。方向転換をするのが難しくなる。
・症状が進むと、首が下がる。体が斜めに傾くことがある。
・転倒しやすくなり、骨折しやすくなるので注意が必要

これらの症状で、姿勢反射障害以外は、初期の症状として出ることが多いので、医師の診断の基準として見るようです。母もようやくこれらの症状を総合してパーキンソン病と診断されましたが、何年も何年も診断されるまでかかる方も少なくないようです。今ではパーキンソン病専門の医師も増えており、昔のように診断までそれほどの時間はかからないようですが、やはり初期症状は他の疾患と間違われやすいちう特徴があるようです。
非運動症状とは精神的な症状が多い、どんな症状があるのでしょうか?
母は、初期の症状の頃は、元々のメンタル的な弱さもあったのかもしれませんが、精神症状が酷く、それによって寝込んでしまうことも度々見られました。薬による幻覚症状や、幻聴の症状も酷く、それによって私たち家族は何年も何年も苦しみの中で生活していました。母の妄想によって、まだ10代後半~20代前半だった私は、元々の母との確執があったことから、更に溝が深まり、それによって母の暴言も増えていったのです。

パーキンソン病になる前から母の精神状態はあまりよくなく、父も母の心身の調子に振り回され喧嘩が絶えませんでした。
おれが、パーキンソン病という病が加わって、ますます母の精神状態は尋常ではなくなり命を絶とうとしたことは1度や2度ではありませんでした。
では、非運動症状とはどのような症状が出るのでしょか?
■ 自律神経症状
・便秘や頻尿、起立性低血圧(立ちくらみ)、食事性低血圧(食後のめまいやしっしん)、発汗、むくみ、冷え、性機能障害
■ 認知障害
・いくつかの手順を追う行動が出来なくなる遂行機能障害(すいこうきのういしょうがい)。物忘れがひどい等の認知症状。
■ 嗅覚障害
・においがしなくなる
■ 睡眠障害
・不眠や日中の眠気、昼夜逆転
■ 精神症状
・うつ、不安などの症状、身の回りのことへの関心が薄れたり、顔を洗う、着替えるといったことをする気力がなくなる。幻覚や錯覚、妄想などの症状。
■ 疲労や疼痛体重減少
・疲れやすい、肩や腰の痛み、手足の筋肉痛やしびれ、体重の減少など。

これらの症状は、1人1人違いますが、多かれ少なかれ何かしらの症状が強くなったりする方が多いようです。
母は、診断されてからは、あんなに好きだった本を読んだり、裁縫をしたりすることが出来なくなり、やっても途中で気力がなくなり辞めてしまうことも多く、いつもぼ~っと家の窓から外を眺めている状態でした。料理も味付けがうまくできず、そのうち父が家事を担うようになっていったのです。
パーキンソン病はなぜ起こる?どんな人がなりやすいの?
私たちの体は、脳の大脳皮質からの指令によって色々なことが出来るようになっています。この大脳皮質の指令を調整しているのが、ドーパミンです。パーキンソン病はこのドーパミンがうまく働かない誤作動を起こし減ることで、発症します。
ドーパミンは私たちの体の動きや思考に大きく影響します。ドーパミン自体は加齢によって減少していくので高齢者にパーキンソン病が増えてくるのは納得できることでもあるのです。ただ、パーキンソン病の患者はその減少するスピードが人より早いことから様々な症状に悩まされるのです。
ドーパミンが速い速度で減少する原因は未だわかっていませんが、それを少しでも薬で抑えることで、進行を遅らせることはできます。

私の母のように若くしてパーキンソン病を発症したり、親族に発症している人が何人かいることで、遺伝性の可能性もゼロではないという医師や、孤発性のもので遺伝はないという医師など様々な説があります。
これは何とも言えませんが、私は母の主治医から母と母方の姉と妹が50代、60代で発症していることを考えると、遺伝的な要因が考えられると言われました。
今の医療ではパーキンソン病のことはまだまだ解明されていないことが多々あるようです。医師の見解もはっきりしたものではないということから、この先の医療に期待したいものです。
終わりに
母がパーキンソン病と長い間付き合って、そんな母を介護してきたからこそ、パーキンソン病のことに関して、色々と勉強することで知識や情報を得てきました。また、介護の仕事を通してパーキンソン病の患者さんを広い目で見ることで、様々な症状で皆さん苦しまれたり、うまく付き合いながら生きていらっしゃる方が多いことも知りました。

もし、万が一私がパーキンソン病になったとしたら、私はどうやってこの病と向き合って、付き合っていくのだろうか?と考えます。母のように32年という人生の成人してからの半分以上をこの病と向き合うと考えると、正直母の壮絶な姿を見てきた者としては生きていく気力がわくのだろうか?と不安になる事もあります。
でも、介護の仕事で出会ったパーキンソン病の方々はどの方も前向きで、明るくてお元気でした。気持ちのモチベーションをあえてあげていらっしゃったのかもしれません。
パーキンソンびょに限らず、病と向き合うことは誰しも苦痛や不安を伴うことではありますよね。私の母も32年を生き抜いて戦ったことは、素晴らしい彼女の生きざまだったと思うのです。