いつか来るその日のために・親の終活のことどう考えますか?

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親亡きあとのその後・・・

終活という言葉を見聞きするようになったのは、ここ数年のことですね。

終活とは・・・死と向き合い最期まで自分らしい人生を送るための準備

という意味で使われています。

私たち家族は終活とどのように向き合い、準備をしていったらいいのでしょうか?

昨年、私は32年間闘病を続けた母を見送りました。母は最期の数年は在宅から入院、入所という自宅以外での生活を送ってきました。母の介護にあたっていた父は、母がいつ家に帰ってきてもいいように、母のモノはそのままにしておいたのです。母の終活については病院で延命措置をするかどうかの話をするだけで、他のことについて話し合うことはあまりありませんでしたが、父は地道に母の財産的なものを母の調子が良いときに話し合い、整理してきていました。なので、母が亡くなった時、父も私や兄も慌てることなくすべてのことを順序だてて整理することが出来たのです。唯一大量にあった衣服を整理するのに時間がかかったくらいです。

父の終活は正直まだできていません。父は自営業をしており、様々な財産的なものがまだ残されたままになっています。父自身と何度も終活について話をしてきましたが、父だけでなく、本人が元気でいる限りそこに消極的な方は多いと思います。父も今は何も考えたくない、そう言って最低限のこと以外は何も手付かずです。

自分らしい最期とは何でしょうか?

終活には様々な模様があります。

子育てが終わり定年退職を迎えた方が、これからの生活をどのようにしたら充実できるだろうか?と考えるかもしれませんし、まだ働き盛りでも今後の自分の老後をどう過ごすかと考えている方もいるかもしれません。また、妻や夫に先立たれて、自分もいつか来るその時のために今何をしたらいいのかと、具体的に考える方もいるかもしれません。

私自身は、シングルマザーで2人の子供を育ててきて、この先子供たちが巣立っていったときに、加齢を重ねる自分の生活をどのようにしようかと考えるようになりました。夫がいないだけでなく、自分1人で楽しく元気に生活できるためには、今どのように動いたらいいのかを考え始めました。

自分らしい最期・・・100人いれば100通りの考え方があるのだと思うのです。たとえ、家族でも夫と妻の終活に対する考え方や思いは違うでしょうし、子供たち1人1人も親の最期をどう考えるかは違うのです。

母の介護が終わり、経営していた会社もたたみ、1日の大半を時間が有り余るほど出来てしまった父は、母亡きあとしばらくは様子がおかしく、物忘れが激しくなったり、ぶつぶつと夜中に寝言とも違う声を発したりするような日々が続きました。母が亡くなる前に、父の会社を閉めたのですが、そのころから、兄と父の終活について話し合うようになりました。兄の思いと私の思いは似ているようで若干違う・・・そこをすり合わせながら、少しずつ父と話し合い父の思いを聞きながら終活に向けてきました。

でも、まだまだそんなことを考えたくない父は終活はすべて拒否・・・唯一望んだのはは、家族が過ごした広い1戸建てを手放すこと。それは母がいなくなって母との思い出が沢山詰まった家でもありそこに一時たりとも居たくなかったという思いも強かったのです。

その後の終の棲家になるであろう場所には私や兄には決まってから報告・・・正直びっくりでした。本来ならば、高齢者住宅などに移ってほしかったのですが、父が選んだのは一般の、しかも家族向けの何部屋もある住宅でした。でもそれは父にとって最善の選択だったのだと、今になって思うのです。

終活への家族の思い

私の父のように、終活へ向けてまだ向き合いたくないという方や、家族が、親の終活についてまだ考えたくないという方もいるかもしれません。

終活に向けて早いということはありませんが、本人の気持ちや家族の気持ちが終活に向けて定まっていないと、色々と揉めることにもなりかねません。まずはじっくり時間をかけて終活のことを話し合ったり、万が一のことを少しずつ話し合うことから始めてみましょう。いきなり、葬儀の話を持ち出したり、財産整理の話を持ち出すことは、親にとってわが子でさえ不信感を持つ要因となりかねないのです。少しずつ親が居なくなった時のことを考えている、どうしたらいいか?などと、寂しさや焦りを感じているなどと言うような話から始めることもいいかもしれません。高齢者の親でも、自分が居なくなった後のことを全く考えいないわけではないのですただ、まだ今は考えなくてもいいと思っていたり、漠然としか考えられない段階なのかもしれません。

そもそも、終活と言う言葉が一般化した背景は何だったのでしょうか?

ひとつめは、核家族化が進んできた背景にあります。昔は家族や近所付き合いなどの地域とのつながりが多きく、家族も、親せきなどを含め付き合いが広かったこともあり、死に対しても、家族の事と捉えていました。ですので、葬儀も家というつながりの中で親戚中が協力し合い故人を送り出すのが一般的でした。しかし、現代では核家族化や生涯独身など、個としての死という背景に変わりつつあり、家族葬や密葬、通夜を行わない1日葬など、葬儀自体も簡素化され、家族の実で執り行う葬儀も増えてきた背景や、墓も持たず、代々受け継ぐことが出来なくなり墓じまいをする家も増えてきました。

その結果、家族に迷惑をかけない最期を考える人が増えてきたのです。生前の元気なうちに自分の身辺を少しずつ整理をすることで、いつかくるその日のために備えようという終活が広がってきたのです。

もひとつは、老後生活への不安です。高齢化が進んでいる背景には平均寿命が延び、老後をどのように過ごすかと考える人が増えたこともあります。また、核家族化により、介護が必要になったときに、わが子に迷惑をかけないように準備をしておこうという考えの親世代が増えてきた背景もあります。老後への不安と、子どもに依存せず、いかに楽しく暮らせるかという、昔の家族の考え方や風習が変化しつつあるというのもあるのでしょうね。

私の父も、母の介護で苦労したこともあるのか、出来るだけ私たち子供に迷惑をかけないで、1人の生活を送っています。逆に私が父に干渉しすぎるあまり、嫌がられる、と言うことも(笑) 

このような家族背景に合わせて、終活に対し、様々な取り組み方が紹介されています。今ではエンディングノートのような、書き込み式のノートも販売されており、いざという時に家族がそれを見てわかるように書き込んでいる方もいらっしゃいます。中には遺言書なるものもついているノートもあるのです。

まだ先の話と考えている場合には、本を読む感覚でエンディングノートを購入して書き込まなくてもどのようなことが必要なのかを、読むだけでもいいのではないかと思います。

終活の話を順序立てて伝えることが大切

我が家の失敗談です。

母が亡くなる1年ほど前に父は経営していた会社を閉めました。その時から、兄と2人で、父の終活を考えようという話になり、私たちだけでは、父もまだまだ私たちをどこか子ども扱いしているところがあるので、こんな話に取り合ってもくれないのでは?と言う思いがあり、法律やお金に詳しい専門の第三者の方々をお願いしました。しかし、そこから話がこじれてしまい、約1年かけてじっくり話をしてきたのですが、最後は、私たちが父の財産を狙っているというよな疑いの目を向けられてしまったのです。

それは、いきなり財産整理の話からしてしまったことが原因でした。父にとっては築きあげてきたものを、例えわが子たちといえども財産への関与をされるのは絶対に嫌だったのです。

その後、視点を変えようと思い、エンディングノートを購入して渡しても、身辺整理として身の回りのいらないものを整理しようと視点を変えても、父はどこか疑うような信頼できないような目で、又は言葉で拒否をし続けました。そうこうしているうちに母が亡くなり、一旦終活のことは白紙に戻したのです。母が亡くなってから、父の認知面が一気に落ちてしまい、そのうち認知症になり症状が進んでからでは遅いと思った私たちは、父に再び話をすることを決めました。今度は第三者の方々を交えず、家族だけで話をしてみようということになったのです。結果、兄が成年後見の話をし、せめてそれだけでも手続きをしてほしいと強く言い続けると、ようやく父は折れたのです。

折れたというよりも、父の中でも自分がいなくなったときのことを考えていないわけでもなく、少しずつ父は父のペースで色々なことを進めていきたいという思いがあったことを知ったのでした。父に何かあった時、例えば急に倒れて意識がなくなってしまった時や、急死してしまった時などの想定を何度も何度も話をしながら、父の意識が変化していきました。

人はいつ何があるかわからない、そんな時に残された家族が困らないように、何かを明確にできるものを・・・と言う思いを少し持ってくれることで、成年後見を考えてくれたのです。まずはそれが第一歩だと思っています。

家族によって終活のことを話すのは様々な状況があるかと思います親の今の状況や、性格を踏まえて、段階を踏みながら、家族だけでまずは話すのがいいのか?それとも、最初から第三者を交えて話すのがいいのかなど、綿密に考えることの方が色々な意味で家族の絆も深まるような気がします。

まずはエンディングノートから始めてみませんか?

エンディングノートも今では、書店に多数並んでいます。内容は基本を押さえながら細かい内容となっているものばかりです。

終活とはどんなものかを知るには、セミナーや専門家に直接相談するもの方法ですが、そこまででは・・・まずは手軽に知りたいと思うならばエンディングノートがお勧めです。細かい項目がいくつもあり簡単に書ける記載式になっているものもあれば、ほとんどを自分で手書きエンディングノートもあります。また、普通のノートを買ってきて自分で好きなように書き込む方もいらっしゃいます。エンディングノートはまずは終活を知るには必須アイテムでもあり、始めるきっかけ作りには良い物でしょう。

では、終活に最低限押さえておきたい項目はどんな内容なのでしょうか?

【自分に関すること】

・本籍地、生年月日、健康保険証や年金手帳、パスポートなどと言った重要書類の保管場所

・家族の名前や家系図

【親戚や友人などの人間関係】

・入院した時や葬儀の時に知らせてほしい人のリスト

【資産に関すること】

・預貯金について(銀行名や口座番号)

・年金について

・不動産、有価証券、生命保険などの資産について

・借りているお金(借入先、担保の有無)

・貸しているお金(誰に?何処に?)

・継承者について

※ 資産に関することを記入する時は、暗証番号やクレジットカードの番号などは書かないようにしましょう。

【医療や介護の事】

・かかりつけの病院

・いつも飲んでいる薬

・延命措置や終末期に関する意向

・臓器提供や献体についての希望

【葬儀について】

・菩提寺の名前と連絡先

・葬儀の形式と予算

・喪主になってほしい人

【お墓について】

・希望する埋葬方法や墓地

・予算

・事前に用意している場合は所在地

・お墓を継承してほしい人

以上の項目は基本の項目となります。これらをもっと詳しく細分化して、書き足す等することでご自身だけのエンディングノートが出来上がります。記入する際に一番抵抗があるのが資産の項目かもしれません。エンディングノートを書いても所在場所を明らかにせずに亡くなり、全て済んだ後にノートを発見したというケースもあるようです。

資産のことを細かく書いているために生前は家族にわからない場所へ保管されていたようで、その所在場所を家族の誰にも伝えなかったという話はよくあるようですね。

保管場所や誰に教えておくかも大切なのです。

終わりに

父のためにと私もエンディングノートを購入しましたが、結局拒否され、今は私が少しずつ書いて行こうかと思っています。終活はとても良いツールでもあり、家族と言えども踏み込みにくかった内容にまで踏み込まなくてはいけない内容でもあります。我が家のように失敗ケースを見聞きしながら、親が最後まで幸せに暮らせるサポートのひとつとして活用していけたら、と思っています。エンディングノートはそのきっかけ作りになるのでは?そう思うのです。

いつか来るその日にご家族でどのような準備や心構えをしますか?

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