母が介護サービスを利用するまで・訪問介護の利用

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介護サービスに抵抗のある高齢者は少なくない

母がパーキンソン病と診断され、年々体の自由が効かなくなった時、父には何度も介護サービスを使うよう話していました。

でも、父も母も介護サービスを使うことにかなりの抵抗がありました。

そんな年齢ではない

まだ自分たちでできる

お前も手伝ってくれたら何も困らない

何度も何度も介護サービスの利用について、話をしてきて、ようやく利用する気になったのは数年後のことでした。

我が家だけでなく、介護の仕事をしていると、同じようなケースのご家庭は少なくありません。やはり人の手を借りることや、介護保険の申請をすることに、ご自身のお気持ちが決まらない限り、どんなに家族が説得しても難しいのです。

訪問介護を利用して家事の負担を軽減するはずだったのに・・・訪問介護は対象となる方のお世話のみ

我が家はヘルパーさんに来てもらい、訪問介護で家事を担ってもらうことから始めました。初めての介護保険の申請で母はいきなり要介護3・・・

父と私で良くここまで頑張って介護してきたな、と介護度を見て初めて思ったのを覚えています。夜中に起こる振戦(震えの症状)、トイレ介助、日中、1人でいる時に転倒して3時間ほど倒れたままで起き上がれないこともしばしばありました。

週に数回、ヘルパーさんが来てくれることで、私も父も仕事に集中でき、少しは肩の荷が下りました。

でも、ヘルパーを利用するにあたって、母は来る前に家の中を片付けるよう、私に言うのです。

ヘルパーさんは掃除や食事の世話なんかの家事をやってくれるのよ

と言っても、

掃除が行き届いてない家には上げたくない、それができないならヘルパーには来ないでもらいたい。

毒親だった母は、私が仕事中だろうが、何だろうが何度も何度も私の携帯を鳴らして呼び出しをします。

そして、それが出来ないとなると、勝手にヘルパーを休ませてしまうのです。

基本訪問介護はご自宅に訪問して、対象となる利用者様の身の回りのお世話をしてくれます。基本その他のご家族の家事はしません。なので、父の洗濯物は、よけて母の洗濯や、母の分の食事や、母が使用する室内の掃除などをしてくれます。

それが、母にとっては不満の種でもありました。

お父さんの分も洗濯や食事の支度をしてよ。お金あげるから

ヘルパーさんに何度かそういって、ティッシュに来るんだ1000円札を渡してことがありました。ヘルパーも困って何度か私や父に返しに来たことがあります。

家の中のものを触れてほしくない・余計なことはしないでほしい・我が家の決まりを守ってほしい・訪問介護の難しさ

母にとっては、知らない他人が家に押しかけてきて、家の中の色々なものを使ったするのが不満でしかありませんでした。

あのヘルパーは、掃除が丁寧じゃない

あのヘルパーの作った食事は味付けが濃くて食べられない

などなど、数年で何人ものヘルパーを変えてほしいと母は言い、私や父は、何度も事業所に連絡を入れて謝りまくっていました。

ヘルパーと利用者様との相性もありますが、やはり高齢の方々にとっては、自分が年長者で一見すると、娘や孫のような若い方々に家の中のことを任せるのは不安という方も少なくありません。

ヘルパーも利用者様といかにコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていくかが大きな課題となります。

過去に、私が勤務していたデイサービスで、2人暮らしのご夫婦は奥様がうちの母のようにヘルパーに不満を抱いており、何人もヘルパーを変わってもらっていました。

ご本人に何が不満だったのかをお聞きすると

パンにマーガリンを塗る時、私は容器の中のマーガリンが、買った時のように綺麗にバターナイフですくって欲しかったの。でもヘルパーはスプーンでマーガリンにいきなり穴をあけてパンに塗っているのを見て、この人とは合わない、と思ったのよ。

なるほど、と思いました。

その方にとっては、今まで何十年も主婦として自分が築いてきた家事の決まりのようなものを、何も知らない他人に侵されることがたまらなく我慢できないのかもしれない、と思ったのです。

訪問介護は利用される方の思いを最大限に組みながら、少しずつ信頼関係を構築することが大切

母の事例や、仕事先の利用者様の話から、訪問介護はその方の大切な聖域みたいなもので、そこに入らせていただくという気持ちが大切なのだと感じました。

また、利用されるご本人にとっては、家に来ていただくことはご本人のプライドや私生活を全てさらけ出すような恥ずかしさがあるのかもしれません。

お互いが気を使いすぎて、訪問介護の利用がぎくしゃくしてしまうのは意味がありません。

母は、

父の洗濯や食事の用意もしてもらえたらいいのにね、

とつぶやいていたことが、ありました。当時はまだ自費でのサービスはあまり知られておらず、我が家もそれは介護保険内で無理なら、出来ないと思っていました。

今では事業所内で、オプション的に介護保険外でのサービスを行ってくれるところも増えました。それも、長年の介護保険制度の改正とともに、利用者や家族のニーズを踏まえた策なのでしょうね。

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