在宅介護で限界を感じた瞬間に考えなくてはいけないこと

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在宅介護で負担に感じることはどんなこと?

在宅での介護を担っているご家族の方々にとって介護は生活の一部でもるだけに、終わりの見えない真っ暗闇のトンネルを歩いているような気持でいる方も少なくありません。介護の負担と言っても介護される方の心身の状態に応じて感じ方は様々です。

私は母がパーキンソン病の初期症状の時は身体的な負担はほとんどありませんでした。当時は私はまだ学生で、母の調子が悪いときには父が母のサポートを担っていたので、私自身は家事を手伝う程度でいたのです。が、しかし、精神的な負担はじわじわと大きくなっていきました。母の体調が良くないと、なるべく心配をかけずに、家の中では母が心地よく過ごせるようにといつも父から言われていたのです。

しかし、症状が進行するにつれて、介護を担う割合も増え、本格的な在宅での介護が始まる頃には、私自身も幼い我が子を抱えながらシングルマザーとしても生きていかなければならず、いわゆるダブルケア状態で介護が始まったのです。精神的な負担以外にも、身体的な負担も増えてくると、休まる時間もなく、24時間母の介護のことばかり考えている状態でした。

介護の負担は経験してみないとわかりません。介護の仕事をしていても、いざ親の介護となると全く別の負担や悩みが出てきて、仕事の方がどれほど良いか・・・という介護職の友人知人たちは声をそろえて言います。

全く私も同感でした。仕事はあくまで仕事と割り切ってできますが、親の介護は終わりが見えません。介護度が進めば進むほど目が離せなくなり、休む暇もないのです。

在宅介護においてどのような負担があるかをまとめてみました。

【精神的な負担】

・24時間介護をしていると休みが取れない

・ずっと介護をしていると自分のことは後回しになり何もできなくなり気持ちが落ちる。

・認知症になった親の介護をしていると、同じことを何回も聞いてくるので精神的に疲弊してしまった。

★ 介護する側がストレスを抱えていると、次第に口調が荒くなったり、イライラしたりと心を病んでしまうケースもあります。

【時間的な負担】

・自分の時間は寝ている時だけ。しかし夜中のトイレや徘徊に付き合うなど睡眠すらもとる時間がないこともある。

・仕事をしていても介護が優先になってしまい、仕事を辞めざるを得なかった。

・一日の流れが介護中心になるので、常に時間に追われている気がする。逆に時間の感覚がわからなくなってしまう。

★ 時間的な負担は、介護する側の自由な時間を取ることさえできないという答えが多くあるようです。私自身も母の介護と仕事、子育てで、一日があっという間に終わり、食事すらも家事をしながら立って食べるということもよくありました。唯一夜だけは、父に任せて家で過ごせてはいましたが、何か困ったことがあると近所の実家にすぐに駆け付ける用意をしていたのです。

【肉体的な負担】

・介護をするようになり、腰痛やひざ痛が悪化し、病院通いもままならない。

・介護疲れで家で倒れてしまい暫く入院した。

・自分よりも体が大きいので、体に大きな負担がかかる。

★ 身体的な負担は、身体介護において誰もが経験する体の辛さです。腰痛や膝痛をいつも抱えている人や、私は丁度、幼い我が子の子育て時期と母の介護が重なっている時は腱鞘炎になりました。今でもその古傷はうずきます。腰痛は万年でした。介護の仕事もしていたので、激しいぎっくり腰になってしまい、1っか月もの間全く歩けず、自宅療養していたこともあります。そんな時、父がいてくれたおかげで母の介護を途切れさせることはありませんでしたが、1人で介護をされている方は、倒れるわけにはいかないといつも気が張っていらっしゃる方も少なくありません。

在宅介護では孤独感を感じている方も多い

在宅介護では、常に介護に追われているために、外に出る機会も少なく、ましてや他人と接する機会も少ないので、孤独感を感じている方もいます。

訪問介護の仕事をしている時、高齢の娘さんがお母さんの介護を1人でされていらっしゃるケースを何軒も見てきました。度の方々も、ほとんど家にいることが多く、目を離すことが出来ないので、買い物以外は家から出ない、というご家族も多かったのです。ですから外の世界をほとんど知らずに、孤独感すら感じない方も多くいらっしゃいました。訪問介護の職員が来ると嬉しそうに会話をするご家族も多く、ご本人よりもご家族が職員が来るのを楽しみに待っている、そんなご家庭もありました。

在宅介護の場合には、訪問介護の職員は、ご家族のケアも大切と思っています。孤独感にさいなまれて体調を崩される前に、ショートステイなどの利用をお勧めすることもあります。中には

自分がリフレッシュするために、ショートステイに親を預けるなんて・・・

という抵抗感がある方も多くいらっしゃいますが、先が見えない介護だからこそ、ご家族が心身ともに健康でいられるためには、時にはリフレッシュして休むことも必要なのです。心身ともに休んでから、また介護に向き合えるようになることが大切なのだと思うのです。また、高齢者施設などは介護に限界を感じた時の難しさを補うための施設だと思っていてください。

決して、施設入所に対して罪悪感を感じることはないのです。

愛情だけでは介護は出来ません。マザーテレサの言葉にこんな言葉があります。

「必要なのは自分は他人を助けるためのプロフェッショナルであるという職業意識なのです。」

私はこの言葉を耳にしたとき、母の介護に疲れ果て、毒親っぷりを発揮する母から逃げたい気持ちでいっぱいでした。でも、おやだから、逃げてはいけない、そう思っていたのです。施設入所や訪問介護を利用することすら母からの逃げと思っていた節もありました。

この人は介護させていただく利用者さん。私の母ではない。これは仕事、仕事!

いつも母に会う時はそんな気持ちを心の中でつぶやきながら母と向き合っていました。でも、マザーテレサのこの言葉に、職業意識をもって介護にあたっていいんだ、という半ばほっとした気持ちも芽生えたのです。

この言葉の解説としては、『愛情だけではボランティア活動は出来ない』という意味ですがボランティアを介護に置き換えた時に私にも限界があって、それを認めてもいいんだと感じたのです。

介護には必ずと言っていいほど限界があります。その後どうするかはご家庭での状況に応じて違いますが、その限界を感じた時に介護する側と受ける側の双方にとって良い策を考えることが必要となってくるのです。

相談窓口や第三者の力を借りることは悪いことではない

家族だけで介護を担っているケースもまだまだ少なくありません。ご本人が拒否しているケースも多いのと、ご家族自信が、

まだまだ頑張れる

第三者の手を借りるまででもない

という介護者側が限界まで頑張ろうとするケースも多いのです。

先ほども述べたように、介護には限界が来ます。心身ともに疲れ果てて手遅れになる前に相談機関に問い合わせることも必要です。

介護に関する総合的な介護相談窓口は各自治体に設置されている、『地域包括センター』や『社会福祉協議会』があります。また、役所などの窓口で相談に応じてくれる自治体もありますので問い合わせてみてください。

地域包括センターは介護を受ける方のお住いの地区によって場所が変わります。どこに問い合わせていいのかがわからない場合には、役所の福祉課に聞いてみると教えてくれます。

また、介護によって生活が困窮した場合には生活保護の申請相談にも応じてくれるか、保護課につないでくれるので、経済的なことも相談してみるといいかもしれません。

また、在宅介護に限界を感じたら、施設入所を検討することも念頭に置いておくといいでしょう。施設入所はすぐには入れない場合が多いので、まずは地域包括やケアマネに相談して、早めに見学などをするといいでしょう。何か所か申し込むことは可能ですがので、いくつかリサーチしておくといいかもしれません。

終わりに

今では、在宅介護で最期まで過ごされる方も増えてきました。今は介護の在り方など医療や福祉が連携して手厚く家族へのケアも含めて在宅介護で最期をという考えもあるのですが、絶対に在宅で、という考えは逆にお互いに負担になるので柔軟な考えで介護にあたることが大切です。在宅介護は家族がいつも心身ともに元気でいることも大切なことなのです。時間や肉体的な苦痛を軽減するためにも時にはショートステイなどを利用して、リフレッシュすることも介護の計画の中に入れておくといいでしょう。

でも、我が家のように母がショートステイを使うことを激しく拒否するケースもあるかもしれません。父は介護保険外のサービスも利用しました。その中で少しでもリフレッシュする時間を作っていたのです。

在宅でのメリットもありますがデメリットも多い在宅介護・・・不安ばかりが先走ることなく出来うる限りまで在宅介護をと考えているご家庭にとっては、様々な第三者の手を借りることと、限界が見えてきたら、躊躇せず、相談機関へと足を運んでほしいと思います。介護で家族皆が共倒れにならないためにも、誰かのアドバイスや情報がより良い介護生活を支えるきっかけとなるかもしれません。

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