国や自治体の調査で分かってきた潜在的ヤングケアラー

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表面化していない潜在的ヤングケアラー

家族を介護する子ども達(NHK あさいち)

先日のNHK番組あさいちの放送です。

ヤングケアラーの調査が各自治体で少しずつ行われるようになり、国は思いのほかヤングケアラーが多いことに更なる支援策を模索しています。

有識者会議なども開催され、各自治体での取り組みや条例も制定されつつあります。が、しかし、まだまだ現状としては、表面化されていない【潜在的なヤングケアラー】も多いのが現状ではないでしょうか?

潜在的ヤングケアラーが多い背景とは

表面化していない【潜在的ヤングケアラー】とはどのような状況を言うのでしょうか?

多くのヤングケアラーたちは、自分がヤングケアラーであることを自覚していないのが現状です。家庭内での出来事であることから、それが当たり前の日常となっているケースが多いのです。

虐待や貧困など何らかの形でその家庭の実態が表面化していなければ、見つけることも困難となります。学校へ通えていないケースでも、周囲の大人の認識の中でヤングケアラーへの知識が無ければ、不登校児として扱われることも少なくないのです。

経験上私も【潜在的ヤングケアラー】だったと言えます。普通に登校し、普通に日常生活を送っていましたが、家に帰る時間をとても気にしたり、母の世話で精神的に勉強に集中できず、高校生になってからの成績は最悪でした。勉強をする時間を削がれることよりも、母のメンタルにずっと付き合いながら家の事をしなければならない精神的な苦痛がいつも私にまとわりついており、他の事に気持ちを集中することが出来なかったのです。

その感情は、は私自身の問題で、母の世話をすることとは別だと何となく思っていました。

潜在的なヤングケアラーの中には私のように、学校へは通えていても、いつも家族の世話中心での生活が基盤となり、自分が一家を支えているため、精神的にいっぱいな子も少なくないのが現状です。

ヤングケアラーの実態に関する研究・報告書

親の気持ち・子どもの気持ち

ヤングケアラー家庭の中には、どうしても子供にサポートをしてもらわなければ生活が成り立たない家庭も多くあります。子供が家事などを担ってくれることに罪悪感を感じながら生活をしている親の心情は、申し訳ない、と言う気持ちでいっぱいと言う人もいるのです。

シングルマザーで精神的な疾患を抱え、働くことすら出来なくなり生活保護を受けながら子供の手を借りて生活をしている家庭も多々あります。仕事上私もそのような家庭を何組も見てきましたが、子供との関係性の中で申し訳なさでいっぱいながらも、思うように動けない自分を責め続け、希死念慮が強くなる方もいました。母親がそのような体調になると子供はもっと家庭内の事を頑張ってやらなきゃ!家族を支えなきゃ!と思う傾向があるように感じます。

板挟みになるヤングケアラーの親たち

ヤングケアラー家庭は、親も子供もお互いに気を使いながら生活をしている世帯がほとんどだと言えます。

地域のおせっかいな大人たちをたくさん作る事

昔は、隣近所の付き合いも積極的で、自治会や町内会などの付き合いも当たり前の時代がありました。しかし、今や隣の住人の存在すらよくわからないような時代。地域とのつながりは希薄な中、隣人にヤングケアラーがいることすら知らないのは当然と言えば当然かもしれません。

そんな中、ヤングケアラー支援は地域とのつながりも必須となってきます。各地域にいる民生員や児童育成の世話人等、地域で『おせっかい支援』と言うような見守りも大切になっていくのではないでしょうか?

埼玉県の取り組み

北海道・ヤングケアラーについてのパブリックコメント

北海道では道民にどのようなヤングケアラー支援が必要かなどのパブリックコメントを募集しました。これから条例を制定するにあたって、道民の声を沢山吸い上げ、地域のおせっかい支援者が沢山増えてくれるといいのですが。

札幌市独自の相談員『こどもコーディネーター』

札幌市独自の事業で、『こどもコーディネーター』という役割の方々がいます。子育てや子どもに関わることなど幅広く動いてくれるコーディネーターです。

私は相談支援事業で随分と各地区のこどもコーディネーターと連携をしていただきながら、困難ケースを一緒にサポートして頂いています。

子どもコーディネーター

暮らしの支援コーディネート

この事業は札幌に限ってですが、こどもコーディネーターは地域の中での利用出来うる支援も情報として持っており、また、自治体や学校などの公的な機関ともやり取りをしてくれるなど、その家庭事情に応じた支援の基礎を提示してくれ動いてくださいます。私は障がいの区分で連携をさせていただいていますが、子育て全般、年齢は場合によっては成人した後でも相談に応じてくれるのです。

様々な児童の機関でこの制度を知っておくと、困った時に色々な情報を教えてくれるかもしれません。

潜在的なヤングケアラーを支援に結び付けるには

公的な機関だけではなく、地域の方々もヤングケアラーと言う子供たちがいることを知ってもらうことはとても重要なのです。私達福祉の人間や教育や公的な機関だけでは、決して潜在的なヤングケアラーを支援に結びつけることは難しいと思われます。

地域のおせっかい支援者がもっと増えること、そして、ヤングケアラー支援に特化した知識と経験がある支援者の養成も今後は必要となっていくと考えられますね。

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